前章で見たとおり、Claude は何かを書いたり実行したりする前に確認を取る。本章では、その確認が出てから「許可していいか」を判断する側のコツと、「これは違う」と感じた時の止め方を扱う。
diff が真実
ファイル編集を Claude が提案すると、確認のダイアログには diff (変更前と変更後の差分) が表示される。Claude の説明文ではなく、この diff こそが実際に起きることである。
説明と diff が食い違うことは、稀だがある。「ログイン処理を修正しました」と言いながら、実際には別のファイルにも触れている、というような。だから Claude のサマリーを信用する前に、必ず diff そのものを眺める習慣を持ちたい。
何を確認するか
許可を出す前に、ざっと次の観点で目を通す。
- 触っているファイルが期待どおりか ─ 頼んだのは A だけのはずが、B や C にも変更が及んでいないか
- 変更が問題に対応しているか ─ 症状を抑えただけで、根本原因に届いていないことがある
- 副作用がないか ─ エラーハンドリングが消えている、設定値が変わっている、テストが skip されている、など
- 既存のコードのスタイルと揃っているか ─ プロジェクトの作法から外れていないか
短い変更なら数秒で見られる。長すぎる変更がそのまま流れてくる時は、それ自体が「分割した方が良かったのでは」というサインかもしれない。
コマンドの確認も同じ
ファイル編集だけでなく、bash コマンドの実行にも確認は出る。表示されるコマンド文字列を読み、副作用に目を配る。
- 何を実行しようとしているか ─ コマンド名と引数を理解できるか
- どこに影響するか ─ プロジェクト内だけか、システム全体か、外部ネットワークか
- 戻せるか ─
rmやgit push --forceのような取り返しのつかないものではないか
「とりあえず試して、ダメだったら戻す」が成り立たない種類の操作は、特に念入りに見る。
違うと思ったら止める
途中で「これは違う」と感じたら、すぐに止める。Claude は止められたら方向を変えられる。最後まで突っ走らせて結果を捨てる方が、よほどもったいない。
Esc─ 進行中のアクションを停止する。会話の文脈は保持されるので、そのまま方向修正の指示が出せるEscを 2 回 (もしくは/rewind) ─ 巻き戻しメニューを開き、過去のメッセージや状態に戻す- 「今のは取り消して」と言う ─ Claude に直接、変更の取り消しを頼む
CLI の Ctrl+C はセッション自体を終了させる動作なので、「進行を止めて続けたい」時には使わない。中断と終了は別物として使い分ける。
反射で Yes を押さない
確認ダイアログが続けて出てくると、内容を読まずに Yes を押す習慣がついてしまうことがある。これを 承認疲れ と呼ぶ。
承認疲れに気づいたら、いったん立ち止まる。その状態で許可を押し続けても、確認の仕組みは機能していない。対処は二通りある。
- 同じ操作を繰り返し許可しているだけなら、「許可して、今後は聞かない」を選ぶか、
acceptEditsモードに切り替えて構造的に減らす - そうではなく、ただ集中力が落ちているだけなら、手を止めて休む
「一つひとつ慎重にレビューする」と「一定範囲を信頼してまとめてレビューする」のどちらかであるべきで、「読まずに Yes を押す」状態だけは避ける。仕組みを使いこなすとは、どこを締めてどこを緩めるかを意識的に選ぶことである。
ここまでで、Claude との一往復のやり取りはひと通り見てきた。次章では、対話の流れを支える基本のスラッシュコマンド (/rewind のような / で始まるもの) をまとめて整理する。
参考情報
- Claude Code ベストプラクティス: 早期かつ頻繁に方向転換する —
Escや/rewindを含む止め方の指針 - チェックポイント — 巻き戻しの仕組み