「JIRA からチケットを引いてきて」「Sentry のエラーをスタックトレースで見て」「Figma のデザインを参照して」── こうした外部ツールとの連携を Claude にやらせるのが MCP (Model Context Protocol) である。Claude Code は MCP を通じて数百の外部ツール・データソースに接続できる。
MCP とは何か
MCP は AI ツール統合のためのオープン標準である。各サービスが MCP サーバーを公開していれば、Claude Code はそれに接続して、そのサービスのツールを呼び出せる。
「別のツールから Claude のチャットにデータを貼り付けている」「貼り付けた状態を Claude に作業させている」── このループが頻繁にあるなら、MCP サーバーを繋ぐタイミングである。Claude がそのシステムを直接読み書きできるようになる。
できることの例
公式が挙げる典型例:
- チケットからの実装 ─ 「JIRA の ENG-4521 の機能を実装して、PR を作って」
- 監視データの分析 ─ 「Sentry と Statsig をチェックして、ENG-4521 の使用状況を確認して」
- DB クエリ ─ 「PostgreSQL に基づいて ENG-4521 を使った 10 人のユーザーのメールを抽出して」
- デザイン統合 ─ 「Slack に投稿された新しい Figma デザインに基づいて、メールテンプレートを更新して」
サーバーの追加方法
MCP サーバーには三つのトランスポート種別があり、それぞれ追加方法が違う。
HTTP サーバー (推奨)
クラウドサービスに接続する標準的な方法。
# 構文
claude mcp add --transport http <name> <url>
# 例: Notion に接続
claude mcp add --transport http notion https://mcp.notion.com/mcp
# Bearer トークン付き
claude mcp add --transport http secure-api https://api.example.com/mcp \
--header "Authorization: Bearer your-token"
Stdio サーバー (ローカルプロセス)
マシン上でローカルプロセスとして実行されるサーバー。npm パッケージで提供されることが多い。
# 構文
claude mcp add [options] <name> -- <command> [args...]
# 例: Airtable サーバー
claude mcp add --transport stdio --env AIRTABLE_API_KEY=YOUR_KEY airtable \
-- npx -y airtable-mcp-server
-- (ダブルダッシュ) より前に Claude のフラグ、後にサーバーのコマンドと引数を書く。
サーバーの管理
# 設定済みサーバー一覧
claude mcp list
# 詳細
claude mcp get github
# 削除
claude mcp remove github
# (Claude Code 内) ステータス確認
/mcp
スコープの選び方
--scope で設定の保存場所を選べる。
| スコープ | 影響範囲 | 共有 | 保存場所 |
|---|---|---|---|
local (デフォルト) | 現プロジェクトのみ | しない | ~/.claude.json |
project | 現プロジェクトのみ | git で共有 | プロジェクトの .mcp.json |
user | 全プロジェクト | しない | ~/.claude.json |
# プロジェクト全体で共有 (チーム向け)
claude mcp add --transport http paypal --scope project https://mcp.paypal.com/mcp
--scope project で追加すると .mcp.json ファイルが作られる。これを git にコミットすると、チームメンバー全員が同じ MCP サーバーを使える。
ただしセキュリティの都合で、.mcp.json 経由のサーバーは初回使用時に承認ダイアログが出る。チームメンバーが「このプロジェクトのこのサーバーを信頼する」と一度許可してから使われる。
認証 (OAuth)
クラウド系の MCP サーバーは多くが OAuth 認証を要求する。手順は単純:
# 1. サーバーを追加
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp
# 2. Claude Code 内で /mcp
/mcp
/mcp メニューから対象サーバーを選んで認証を開始すると、ブラウザが開いてログインフローが始まる。完了すると認証情報が安全に保存され、自動更新される。
トークンを取り消したい時は /mcp メニューの「Clear authentication」から。
使い始めの三つの実例
Sentry でエラー調査
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp
# /mcp で認証
過去 24 時間で最も一般的なエラーは何?
エラー ID abc123 のスタックトレースを表示して
どのデプロイメントがこの新しいエラーを導入した?
GitHub に接続
claude mcp add --transport http github https://api.githubcopilot.com/mcp/ \
--header "Authorization: Bearer $GITHUB_PAT"
PR #456 をレビューして改善案を出して
見つけたバグの新しい issue を作って
自分にアサインされている全 PR を表示して
PostgreSQL のクエリ
claude mcp add --transport stdio db -- npx -y @bytebase/dbhub \
--dsn "postgresql://readonly:pass@prod.db.com:5432/analytics"
今月の総収益はいくら?
orders テーブルのスキーマを表示して
過去 90 日に購入していない顧客を検索して
MCP リソースを @ で参照する
MCP サーバーがリソースを公開していれば、ファイルと同じように @ で参照できる。
@github:issue://123 を分析して修正案を出して
@docs:file://api/authentication の API ドキュメントをレビューして
@server:protocol://path という形式。複数のリソースを一つのプロンプトで参照することもできる。
MCP プロンプトをコマンドとして使う
MCP サーバーがプロンプトを公開していれば、それは /mcp__server__prompt という形のスラッシュコマンドとして使える。
/mcp__github__list_prs
/mcp__github__pr_review 456
/ メニューを見ると、接続中の MCP サーバーから来ているプロンプトが並ぶ。
ツール検索 (デフォルトで遅延読み込み)
MCP サーバーをたくさん繋ぐと、ツール定義がコンテキストを食う問題がある。Claude Code はデフォルトでツール定義を遅延読み込みする仕組みを持っており、セッション開始時はツール名だけが乗り、必要時に Claude が ToolSearch で検索して読み込む。
ただし常に使うサーバーは事前読み込みしたい ── その場合は .mcp.json で alwaysLoad: true を指定する:
{
"mcpServers": {
"core-tools": {
"type": "http",
"url": "https://mcp.example.com/mcp",
"alwaysLoad": true
}
}
}
セキュリティの注意
サードパーティの MCP サーバーは自己責任で使用してください。Anthropic はこれらすべてのサーバーの正確性またはセキュリティを検証していません。
公式が明示的に警告している通り、信頼できるサーバーだけ繋ぐのが基本。特に「外部の信頼できないコンテンツを取り込む可能性のあるサーバー」(SNS、メール、外部 web 等) は プロンプトインジェクションのリスクが大きい。
社内導入では、信頼できるサーバーのみを許可する allowedMcpServers のような管理設定を組み合わせる。
次章は、ここまで扱った Skills / Subagents / Hooks / MCP を一つにまとめて配布する仕組みとして Plugins に入る。
参考情報
- MCP (公式) — 接続方法・認証・人気サーバー一覧
- MCP プロトコル仕様 — MCP の標準仕様