Claude Code に何かを頼むとき、最も大事なのは「何を作っているか」を伝えることである。
なぜ文脈が大事か
文脈なしの指示は、答えのない質問に近い。「ボタンを直して」とだけ言われても、どのボタンを、どう直すべきか、Claude には判断材料が足りない。
人間に頼むときも同じである。同僚に「ボタンの挙動がおかしいから見てくれない?」と頼めば、その人は周辺の事情を自分で補って動いてくれる。Claude にはその「補い」の元になる情報が、こちらが渡した分しかない。だからこそ、最初に何を渡すかで結果の質が決まる。
何を伝えるか
良い指示には、おおよそ次の三つが含まれる。
1. 何を作っているか・どんな状況か
プロジェクトの種類、関係するファイル、困っている現象。Claude が状況を組み立てるための土台になる。
2. 何を実現したいか
直したいこと、追加したい機能、目的。「直す」だけでは方向が定まらない。望ましい結果まで言葉にする。
3. 何が「うまくいった」と判断できるか
テストが通る、エラーが消える、特定の動作が再現される。判定基準があると、Claude は途中で迷わなくなる。
悪い例と良い例
悪い例
ログイン処理を直して。
これだけでは、Claude は当て推量を始める。どこのログイン処理か、何が壊れているか、どう直したいかが不明である。
良い例
src/auth/login.tsのログイン処理が、間違ったパスワードでも success を返してしまう。期待は失敗時に 401 を返すこと。tests/auth/login.test.tsの “rejects invalid password” が通れば直ったと判断できる。
ファイルが特定され、現象と期待が言葉になり、合否を判定する手段まで揃っている。Claude は迷わず着手できる。
一発で決めようとしない
良いプロンプトを書こうと意気込みすぎる必要はない。最初の一手はラフでよく、Claude の動きを見てから追加で指示する、という反復で詰めていく方が早いことが多い。
「ここまでは良いが、エラーハンドリングは外してほしい」「もっと既存の書き方に揃えて」のように、途中で方向を曲げられる。これがチャットとの大きな違いで、Claude Code は対話の中で軌道修正できる。
先に「説明して」と頼む
複雑な変更では、いきなり手を動かさせるより、先に「どう進めるか説明して」と頼むのが有効である。Claude が方針を文章で返してくれるので、こちらは方向性をその場で正してから着手させられる。
このリファクタリングについて、どう進めるか先に説明してほしい。
着手前に方針を見られると、見当違いの変更を最初から避けられる。同じ目的を、より明示的な「計画モード」として持つ Plan Mode という機能もあるが、それは実践の章で扱う。
参考情報
- Claude Code ベストプラクティス — 公式ドキュメントのベストプラクティス
- プロンプトエンジニアリング概要 — Claude 全般の指示設計指針